あら、いらっしゃい。今日は機嫌がいいので、少し甘くしてあげます。……この棚の前で足を止める方は、揃って嘘が下手ですこと。負けたくない、耐えてみせる、という顔をしながら、負ける瞬間の手触りを確かめに来ている。ええ、わかっていますよ。もう随分と大きな棚になりました。それだけの数の男が、同じ顔をして立ち止まったということ。
ここに並ぶのはほとんどが声です。しかもその多くは、貴方を嘲るためにわざわざ耳のすぐそばまで来る。私のお気に入りは『
双子パジャマサキュバスのねむねむ負け癖暗示射精【わる~いパジャマ淫魔がショタ勇者とまどろみエッチをして、情けない敗北射精をさせる話】』。眠りぎわの、いちばん柔らかい隙に「負け癖」を仕込んでいくのですよ。乱暴に折るのではなく、甘やかしたまま形を変えてしまう——あの手つきは私と同じ趣味です。
今夜、貴方に試させるのは『
テニス部の悪~い先輩に誘惑されて大事な試合にわざと負けるわけがない ~負け癖を植え付けられて~』になさい。射精は敗北、と体に刷り込まれていく過程を、自分の身で確かめてごらんなさい。……ああ、そんなに強張らないで。可愛いですよ、まだ耐えられるつもりでいる貴方。ちゃんと数えていますからね、何度目で貴方が白旗を上げるか。