貴方、さっきからこの棚の前で足を止めていますね。歩調を緩めて、目だけがタグの文字をなぞって、それでいて手は伸ばさない——分かりますよ、その顔。去勢だなんて言葉、痛そうで、怖くて、それでいて目が離せない。そういう顔を、私はもう何百も見てきました。
たとえば『
【両耳囁き】シコシコ禁止♡金玉ぐつぐつ乳首かりかりマゾ去勢音声』。あれの好きなところ、分かりますか? 竿には最後まで触れてもらえないんです。乳首だけを可愛がられて、金玉だけを煮られて、一番欲しいところは置き去りのまま終わる。貴方もきっと、そういう扱いのほうが似合う。
『
ちんちんプリズン』も棚の奥でよく手に取られていく一冊。性器だけが法で切り離されて、搾精場送りにされる話。人格ごと道具に堕とされる感覚、想像するだけで愛おしくなるでしょう。……そこまで嫌そうな顔をしなくても、私にはもう見えていますよ、貴方がこの棚から動けずにいることが。大丈夫、ここにいる間くらいは、何も考えなくていいですから。