貴方がたには、かねてから言っておきたいことがありました。この棚の前に立つ方は、決まって設定の話をなさる。世界観がどうの、技術がどうの——そうやって自分の欲に趣味の化粧をするのが、本当にお上手ですね。
けれど私は、ここに何が並んでいるか知っていますよ。機械やAIに手をかけられる話。人でないものに種として値踏みされる話。負けて食われる話。手続きのような、事務的な手つきで処理される話。貴方が欲しいのは未来ではなく、自分を人として扱わない相手への口実でしょう。宇宙まで行かないと、貴方は安心して物になれない。それを言い当てられて、今ほんの少し呼吸が浅くなりましたね。
もうひとつ。この棚は妙に、貴方の手を動かさせる作品が多いのです。『
Holy Hand Device 搾精仕掛けの機械人形』でアンドロイドと我慢比べをして、負けた回数を覚えていらっしゃる? ……ふふ、覚えていなくていいのですよ。私が数えていますから。今夜は『
あなたは人類保全のための実験サンプルに選ばれました 優しい上位存在さんに完全拘束されて永遠に搾精される音声』になさい。優しい声で観察されて、幸福とやらを測られてごらんなさい。そこが貴方の一番弱いところですから。