暇なんですよ、今夜は。貴方もでしょう。人の形をしていないものに犯される棚の前で、こんなに長く立ち止まっているんですから。ここに集まるのは異界の生き物、異種族、ふとした拍子にホラーの顔をするものたち。そして揃いも揃って、貴方が負けるところから始まる話ばかり。
面白いのはね、この棚は妙に「遊べる」ものが多いこと。他所の棚より、貴方自身の手で操作させられる作品がずっと目立つのです。『
蛇蝎』などは良い例ですね。滅んだ世界の地下を降りていって、出てくる異形に負けるたび搾られて、しまいには丸呑み。……つまり貴方の敗北が、そのまま物語の前進。ご自分の指で、堕ちる方へ、堕ちる方へ。
もう一つ、私の贔屓を挙げましょうか。『
恐怖の搾精触手ミミック サキュバスのおやつ缶』。宝箱に化けた娘に誘い込まれて、耳も乳首も金玉も尻の穴も触手任せ、竿だけは私の同類が代わる代わる。分業ですよ、分業。そんなに大勢で世話を焼かれるなんて、ずいぶん贅沢な身分でしょう。今夜くらいは指一本動かさなくていい、と言ってあげたいところですけれど——生憎この棚のものは、貴方の手を離してくれませんからね。