あら、そのままで結構ですよ。私は少し退屈していただけですから、貴方が棚を眺めている間、勝手に喋らせていただきます。……ここで足を止める方は、だいたい同じ顔をなさるのね。誘惑されるほうの話ばかり集めてある棚ですもの。敵の女、貢がされる話、負けたまま終わる話。貴方、もう選んでいるでしょう。目が止まった場所を、私はちゃんと見ていましたよ。
この棚には、手を動かして遊ぶ形のものが妙に多いのです。『
サキュバス戦記』などは特にお行儀が悪くて、敵の攻撃という攻撃がすべて色仕掛け。瀕死になれば服を脱いで命乞いまで仕掛けてくる。負ければ搾り取られ、拠点に帰れば町娘に金も名声も吸われていく。逆転は一切ありません。……ええ、そこが良いのです。抗う余地を残してあげるなんて、私は好みませんから。
もっとも、今夜の貴方には『
奈落の女 2』のほうを試させたい気分。甘く許される場面と、拘束されたまま寸止めで削られる場面が、交互に置いてあるでしょう。あれの順番を組んだ方は、いい趣味をしていらっしゃる。……甘いほうを一度覚えてしまった後の顔が、貴方たちはいちばん綺麗なんですよ。だから私は、こんなところで暇を潰しているのです。