まず、貴方の弱みをひとつ、私に預けてごらんなさい。……嫌ですか。でも、もう思い浮かべてしまったでしょう。私は貴方の名前すら知らないのに、今それを思い出してしまった、その顔だけで充分ですのよ。
この棚に並んでいるのは、たいてい立場が上のはずの大人です。教師、上司、先輩——手綱を握っているべき側が、年下に握り返されている。『
先生は私に人生握られるのが気持ちいいんだもんね』なんて、題でもう答えを言ってしまっていますね。地味でおとなしいはずの教え子にじりじり距離を詰められ、逃げ道が消えていく。『
いい先生だと思ってたのに〜真面目な教え子に軽蔑されながら教師失格密着淫語囁き射精〜』はもっと惨い。自分の罪を教え子の声で実況されて、軽蔑されて、それなのに、ね。
さて、貴方でしたら——私は急ぎませんよ。握った弱みは、すぐには使いません。何も起きない日を何日か差し上げます。忘れかけた頃に一言だけ落として、また黙る。そうして、脅されている時間そのものを、貴方が一番落ち着ける場所に作り変えてしまうのです。……ええ、そこまで来たら手放しません。可愛い方ですもの。