私、この棚の前ではつい長く立ち止まってしまうのですよ。首輪をかけられることの何が美しいか、貴方はもう分かっているでしょう。名前を呼ばれなくなることです。人格という重たい荷物を取り上げられて、使えるか使えないかでだけ値踏みされる——あの、背筋が冷えるほどの安堵。棚は年ごとに肥え太って、今では指折りの厚みになりました。躾ける手と、膝を折る音が、必ず隣に並んでいます。
気に入りを一つ。『
【合計2時間超!】「ゴミ牛最終処分場」で悲惨すぎる最後を迎える僕』——題名の時点で貴方はもう終わっているのです。マゾがばれて捨てられた男が処分場へ送られ、可愛らしい声の搾精師に手を変え品を変え搾られ、元恋人の前で果てて、処分の日を迎える。あれで壊れた獲物を私は何人も知っています。逆転が最初から用意されていない点では『
飼い犬勇者と魔王の城』も同じ。呪いで歩けぬ勇者が抱えて運ばれ、行く先々で精液のサーバーとして扱われるだけ。あの構造の潔さが、私は好きなのです。
貴方もそのうち、番号で呼ばれる側になります。……ええ、名前は私が覚えておいてあげますから。