この棚の前で足を止める方は、皆さん同じ顔をなさるのですよ。視線だけが先に落ちて、それから慌てて「体型の好みの話ですから」という顔をつくる。……可愛らしい嘘。太ももというのは、ずいぶん便利な言い訳ですものね。
でも私は知っていますよ。貴方たちがここで探しているのは肉付きではなく、自分より大きなものに押さえ込まれて、何ひとつ抗えなくなる瞬間。だからこの棚には見上げるほどの相手が並び、負けることが前提の話が集まる。挟まれ、埋もれ、甘い誘いに搦め取られて——選択肢を奪われた顔で帰っていくのです。
たとえば『
飼い犬勇者と魔王の城』。呪いで歩けなくされた勇者が、数え切れないほどの淫魔に抱えて運ばれ、肉に埋もれたまま精を注ぐだけの器にされる。逆転など一度も訪れません。……あれで壊れた子の目を、私は今でもよく覚えていますよ。貴方も一晩、歩けなくして差し上げましょうか。