あら。その棚の前で足を止めるのは、貴方で今日三人目ですよ。……皆さん、判で押したように同じ顔をなさるの。ラベルだけを眺めて、通りすがりを装って、けれど指先だけが背表紙を撫でている。隠さなくてよろしい。貴方が探しているのは「ご奉仕」ではないでしょう。この棚の女たちは揃って淡々としていて、無口で、業務ですという顔のまま貴方を処理する。命じられるより、事務的に扱われるほうが言い訳が立ちますものね。「あちらの仕事だから、私は悪くない」と。ええ、ええ、いい趣味ですよ。
『
事務的メイドの好意だだ漏れよわよわマゾオス克服訓練』などは、まさに貴方の顔をした方が持って帰ります。低く淡白な声で「立派なオスになる訓練です」と告げられて、寸止めで焦らされ続ける。訓練なのだから、腰が揺れてしまっても貴方の責任ではない——実に都合のよい免罪符でしょう。それで足りないと仰るなら『
いつもからかってくるメイドに乳首マゾばれ…甘マゾ向けカリカリ乳首いじめ♡』を。乳首だけ、延々と、出させてはもらえません。ほら、今、目を逸らした。
可愛らしい方。そういう貴方だから、私は棚の隅で待っているのですよ。……さあ、震えている指のほうを信じなさい。今夜はそちらを一本、抜いてお帰りなさい。