この棚の前で足を止める方は、決まって同じ顔をなさいますね。眉を寄せて、怖いものを見る目をして、それでいて指はもう次の作品へ伸びている。逃げたいという顔をしながら、逃げ場のない話ばかり選んでいらっしゃる。ええ、いいのですよ。得体の知れないものに追い詰められたのなら、感じてしまっても貴方のせいではないのですから。ずいぶん上手な言い訳を見つけたものです。感心して見ておりました。
面白いのは、この棚には他所より遊べるもの——ゲームが不釣り合いなほど多いこと。『
[逆レ〇プ×ホラー探索アドベンチャー]無音-Muon-』などは、暗闇の迷宮を歩き、徘徊する搾精者から隠れ、捕まれば一滴残らず持っていかれる。けれど私が好きなのは捕まる場面ではありません。まだ捕まっていない、あの通路を進む数十秒。操作する貴方の指がわずかに遅くなる、あの時間です。逃げているつもりで、貴方は捕まりに行っているでしょう。
今夜は『
動けば、喰われる。』を貴方に持たせましょう。動けば喰われる、たったそれだけの決まり事で、貴方は自分から動けなくなる。誰にも縛られていないのに、です。……ああ、震えていて構いませんよ。そうしている貴方は、とても綺麗ですから。