あら。……いえ、貴方に用があるわけではありません。少し退屈していただけですよ。ちょうどいいので、そこに立っていなさい。この棚の前に来る方は、決まって俯くのです。棚を見ているようで、視線が床に落ちている。もう自分の居場所を知っているのね、と思うと可笑しくて。呆れるほど大きな棚なのに、貴方たちの目の高さだけはいつも同じ。
面白いのは、ここには「遊ばせる」ものが妙に多いこと。他の棚と比べても目立ちます。負ける瞬間を、わざわざ自分の指で選ばせるのだから趣味が悪いでしょう。『
マゾ×ザコ クエスト』なんて、普通に戦えば勝てる格下の女たちに、わざと負けに行く話ですよ。勇者の尊厳を、自分でボタンを押して剥がしていく。……ええ、貴方、向いています。顔に出ていますもの。
それと『
足がすごく臭い子 粘着質な足汗と濃厚な臭いで人間失格になる音声』。この棚には匂いで嬲る話や、敗けて踏まれる話がよく紛れ込むのだけれど、あれは特に念入りでした。人間をやめさせるのに、殴る必要などないのです。靴下一枚で足りる。……今夜は蹴りませんよ。膝の上で、私の足の重さだけ覚えて帰りなさい。それでいい子です。